なるほど

結城浩

2000年2月29日

私は「あたりまえの話」をするのが好きだ。 あたりまえの話、簡単な話、どこかで聞いたことのあるような話が好きだ。 でも、そのうちに、いつのまにか「おや?」と聞き手に感じさせ、 「ふうん」と思わせ、「なるほど」と言わせるような話になったら最高だなあと思っている。 いや、もっと最高なのは、相手からのフィードバックで私自身が「なるほど」というような話なのだ。

これは知っているよね。こうやればこうなることも知っているよね。 じゃさあ、こうやったらこうなるんじゃないかなあ。 やってみようよ。ほら!ね。やっぱり。 あ、でも、このときはどうしたらいいかなあ。え? あ、そうか、こうすればいいねえ、確かに。 なるほど。

…こんな感じの話をしたり、対話ができたり、本が書けたりしたらいいなあ、といつも考えている。

自分が見つけたささやかな発見は、 世界のどこかでは誰かがとっくの昔に発見しているのかもしれない。 けれど、 自分の目の前の1つの発見、1つの対話、1つの微笑み、1つのあいづちを大事にしなかったら、 生きているかいがないってもんだ。