初校読み合わせ / こんな本を書きたい

結城浩

2001年5月12日

『Java言語で学ぶデザインパターン入門』の初校読み合わせ。 今回はけっこう長時間だったが、無事に終了。 それに先立ち、 ソフトバンクパブリッシングの稲葉副社長さんに久しぶりにお会いする。 有益なお話をうかがい、また大きな励ましもいただいた。 感謝。

その後、食事をしながら結城が今後の仕事の方針についてプレゼンテーションをして、 編集の方から意見をいただく。率直な意見の交換の後、次の本の予定がほぼ固まる。 感謝、感謝。

例によって、 その後は編集者との濃ゆい雑談。 言葉のこと、 文章を書くこと、 本を作るということ、 「執筆」と「編集」のこと、 インターネットの文章のこと、 編集者に必要な資質のこと…。

この日記にも何度も書いているけれど、 「本を書く」というのは本当にわくわくする仕事だと思う。 何というか…チャレンジングで、エキサイティングな、 素晴らしく魅力的な仕事である。

結城はいつも「ベストセラーよりもロングセラー」を書きたいと思っている。 また、たとえそんなに売れないとしても(売れてもいいけど)、 読んだ人に喜びや励ましを与える本を書きたい。 1人でも多くの人に「なるほど!」という思いを与えるような、 何だか新しいことに挑戦したくなるような、 読者が自分でも試したくなるような、 そんな本を書きたい。

偉そうな顔をするために難しい本を書くのではなく、 難しい内容を噛み砕いて、びっくりするほど易しく、くどいほど丁寧に説明した本を書きたい。 もうすでにみんなが(ある程度)知っていることであっても、 もう一度そこに新しい光を当てるような本を書きたい。 読者がはっとして「なるほど、そういう意味だったのか!」と感じるような、 そんな本を書きたい。

知識獲得のためだけの本にはしたくない。 もちろん、必要な知識、必要な情報を読者に伝えることは最低条件だが、 それだけには終わらせたくない。 結城がその知識を身につける過程で感じた「わくわく」を伝えるような、 そんな本を書きたい。 だから、結城はいつも「自分がわくわくしながら」本を書きたい。 せっかく本を書くのだから、本当の意味で「楽しみながら」本を書きたい。

著者は本の内容と形式について全判断を行い、全責任を負う。 しかし、その栄光を自分に帰さないようにしたい。 情報や励ましを私に与えてくださった多くの人に感謝し、 高度で献身的な編集をしてくださる編集者に感謝し、 読んでくださる読者に感謝し、 そしてもちろん、天にいらっしゃる父なる神さまに感謝しなければ。

神さまが、すべてのすべてを備えてくださったのだから。