本を書く一日

結城浩

1999年1月2日

ゆっくり考えて書き始める。 そのうちにスピードが上がる。 だんだん頭が早く回転するのだ。 手が動くまま書き続けて1時間、頭が痛くなったら休む。 いま執筆中の本を、 神さまが祝福して用いてくださることを祈りつつ、どんどん書こう。 自分の知恵や力ではなく、 神さまからの知恵や力で仕事ができるというのは何と楽なことか。 平安のうちに仕事ができる喜び。 栄光をいつも主にお返しし、主をほめたたえ、祈りつつ書く。

連続して大量の時間があったからといって仕事が進むわけではない。 細切れでも、すぐに仕事をはじめられる体勢になっている方がよい。 そして、興がのったら連続して仕事できる状況だとなおよい。 何よりも、集中して仕事ができることが大切。

本の原稿を書いていると、息子が隣にやってくる。

結城「とーたんは、本を書いているんだよ。本を書くときには、読んでいる人に手紙を書いているようなつもりで書くんだ」

息子「ふうん」

結城「これはどうだと思いますか? っていうのは読んでいる人に尋ねているんだね。尋ねると、人は自分で考えはじめるものだから」

息子「(画面をのぞきこんで)いんすたんす、を、つくります」

息子は、私が書くのを横からしばらく読んでいたが、 そのうちに私にもたれかかって眠ってしまった。かわいい寝顔。 私も一緒に眠る。

夜になると次第に頭が回らなくなってくる。 そうなるとクリアな文章は書けなくなるし、 香りもなくなってしまうし、ユーモアもなくなる。 そういうときには、やりのこしていることや、頭に浮かんだことだけを 箇条書きにしてファイルに残しておく。あとは明日に期待しよう。