私の指は猫のヒゲ

結城浩

1997年7月4日

暑い。

私は長袖シャツが好きなので、 この暑い中も、コムサデモードの白いシャツを着て白い綿パンを履き、 暑い、と言いながら歩いている。 長袖シャツが好きなのは、暑いときには腕まくりをすればいいし、 寒くなったらまた戻せばいいからだ。 電車やオフィスは冷房が異常に効いてて 体を冷やしてしまうことが多い。 だからどうしても調整がきくスタイルの方が好みなのだ。

とはいえ、外は暑い。

私にとって、指・手・腕はとても重要なセンサーらしい。 猫のヒゲ、蝶々の触角、まあそんなところである。 手がちょっと汚れると洗う、という神経症的なものではないが、 手の触感を損なうようなものが手に付着していると、 気になってしょうがなくなる。

私がゆっくり考えたいときには、 手を丁寧に洗い、キーボードに向かう。 キーボードを叩きながらだと、よく物事が考えられる。 鉛筆やボールペンで文字を書きながらでもいいけれど、 現在はキーボードがいちばんしっくりくるみたい。

私の好きな「文字」がしるされていくのと、 私の触角である「指」が踊るのとが あいまって、 何ともいいようのない喜びを生み出すようである。