夏の判じ物

結城浩

こんにちは。結城です。
毎日、暑い日が続きます。
あなたは、いかがお過ごしですか。

先日のこと。
お昼頃、私はバス停でバスを待っていました。

暑いなあ、と思ってふと前を見ると、
すらりとした女性がTシャツを着て、
大きな布のバッグを持ってバスを待っています。

彼女は素足に木のサンダルを履いています。
ときどき、そのサンダルを片方づつ脱ぎ、
フラミンゴのように片足を器用に曲げ、
ジーンズに足の裏をこすりつけます。
きっと汗をぬぐっているのでしょう。
足の爪にはマニキュアが桜色に光っています。

彼女は、和風の朱い髪留めをして、
長い髪をすっきりとまとめています。
年齢は二十歳になるかどうか、というところ。

彼女はバスが来たのを見るとバッグを持ち直し、
サンダルを からん と鳴らしてバスに乗り込みます。

私は、そのとき、彼女の持っている大きなバッグの中身が
何なのか(はっ)とわかったのです。

もちろん、私は彼女のバッグの中身をのぞいたりしたわけではなく、
私の考えが正しいかどうかは確かめようがないのですけれど。

夏の判じ物ですね。
それでは、また。