To: You From: Hiroshi Yuki Date: Sat Oct 13 22:30:00 2001 Subject: [Letter] こんばんは、結城です。 すっかり秋ですね。いかがお過ごしですか。 一日生きていると、いろんなことを考える。 考えている最中には、そのことがとても大事なので、 これを文章に書いておこう、 ぜったい書こう、どう書こうかな、などと思う。 でも少し時間がたって、その熱意がさめてしまうと、 書くべき内容も精彩を欠き、 なぜあんなに書きたいと考えていたんだっけ、 などと他人事のように思ってしまう。 - - - - - 対話というものを考える。 ある人が誰かに何かを言う。 すると相手はそれに返事を返す。 返事を返すとき、 「それはOKだ」という意味の返事と、 「それはNGだ」という意味の返事との2通りがある。 (おおざっぱに言って) 対話、というのは必ずしも知識のやりとりではない。 もっと複雑で微妙な何かのやりとりだ。 例えば、相手が話している内容は正しいんだけれど、 聞いていて心地よくない、ということはしばしばある。 自分が何かを言う。相手が返事を返す。 その返事がいつも「それはNGだ」という意味のものばかりだと、 それが、たとえ正しいとしても、 だんだん対話そのものが苦しくなるだろう。 相手に媚びを売って、NGなものまでOKと言え、というのではない。 そうではなくて、相手とのつながりを不用意に細くしないように、 といっているのだ。 「私はあなたを受け入れている」というシグナルを送りながら、 「あなたがいま言ったことはNGである」と語るのは、 なかなか難しいものである。 でも不可能ではない。 半分は、純粋にコミュニケーションの技法であり、 その労力をかけるかどうかの問題だ。 残りの半分は、実際にそうやってみようという心意気の問題である。 そして両方とも、話相手に対する「愛」の問題だ。 - - - - - おやすみなさい。 ================================================ 結城浩 [Letter] の登録ユーザにお届けしています。 登録や解除は http://www.hyuki.com/letter/ から。 ================================================