フリーメール

インターネット・コミュニティの歩き方

結城浩

今回は、無料で利用できる「フリーメール」のお話です。

カンガルーくんが、結城さんちにやってきて、力いっぱいドアをノックする。

カンガルー: 結城さん、いるの!?いるの!?(ドンドンドンドン)

結城: おいおい、カンガルーくん。きみのパンチだとドアが壊れるよ。ほら、へこんじゃったじゃないか。

カンガルー: あ、いた。ちわーっす。細かいこと気にしない、気にしない。ちょっと相談きいてよ。

結城: やれやれ、今日は何かな?

カンガルー: んーとね。 先月、 掲示板の話をしてくれたときに、ちらっとフリーメールっていってたじゃない。

結城: うん、そうですね。

カンガルー: あの話くわしく聞きたいなって思ったのさ!教えてよ、出し惜しみしないで!

結城: 別に出し惜しみなんかしていないよ。フリーメールっていうのは、無料で使うことができるメールアドレスなんですよ。

カンガルー: すげー、ただでメールが使えるの。わかったよ、ありがとうっ!

結城: ち、ちょっと待った。まだ話ははじまってないよ。

カンガルー: え、そうなの。

結城: まあ、落ち着いて座って。

☆     ☆     ☆

結城: フリーメールは無料メールとも呼ばれていて、申し込むと自分が自由に使えるメールアドレスがもらえるというサービスですね。

カンガルー: 無料か!タダはいいなあ!それどこでもらえるの。

結城: Webの検索サイトで「フリーメール」や「無料メール」を検索すると、たくさんのフリーメールサービスが見つかります。

カンガルー: 検索サイトって? たとえば?

結城: うん、たとえばグーグル http://www.google.com/やヤフー http://www.yahoo.co.jp/で探してみたらどうかな。

カンガルー: ふうん。じゃ、さっそく探してみよう。パソコン貸してよ。…おおっ!

結城: なんだい、急に大きな声を出して。

カンガルー: すごい数が見つかるもんだねえ!たくさんあるよ。ところで結城さん、どしてフリーメールは無料なの? ほら「うまい話にゃ気をつけろ」っていうことわざもあるし。

結城: それ、ことわざ? まあいいや、それはとてもいい質問です。無料になるのは、誰かが宣伝に使うからなんです。

カンガルー: 宣伝って、何の宣伝?

結城: たとえば、そのサービスをしている会社が自社の宣伝に使う場合もあるし、広告スペースとして他の広告主に売る場合もあります。

カンガルー: じゃあ、自分が出すメールに広告がついちゃうじゃん。やだな。パーンチ!

結城: うーん、それは人によって好き好きですね。無料なら広告が入ってもいいやと割り切って使う人も多いでしょう。それに、広告の入れ方はフリーメールのサービスによって違い、いろいろな形態があります。

(1) 送受信するメールに広告が含まれる場合

(2) メール本文には広告は含まれず、利用者に対して別途広告メールが送られてくる場合

(3) メールを読み書きするサイトで広告が表示される場合(Webメールの場合)

結城: こんなところ。(2)や(3)の場合にはメール本文には広告は入りませんね。

カンガルー: いろんな種類があるってことか。

結城: そもそも、フリーメールの実現方法もたくさんあって、サービスごとに違うんですよ。1つの例を図に描いてみました。これはフリーメールのサービスが受信メールを転送してくれる場合の一例ですね。

フリーメール

カンガルー: 自分のフリーメールのアドレスあてにやってきたメールがメインのアドレスに転送されるってことか。

結城: そうですね。

☆     ☆     ☆

ペンギンちゃんがやってくる。

ペンギン: 結城さん、こんにちはです。あら、カンガルーくんですわね。

結城: こんにちは。

カンガルー: おうよ。いまフリーメールの話をしてたんだ。ペンギンは何の用?

ペンギン: 結城さん、わたし、最近迷惑メールが多くて困ってるんです。メールボックスをあけると迷惑メールがたくさん入っていてこまるのです。

カンガルー: そんなの簡単だよ。削除だよ、削除削除。迷惑メールはパンチパーンチ!

結城: ペンギンちゃん、いまカンガルーくんにフリーメールの話をしていたんですけど、フリーメールは迷惑メール対策のひとつでもあるんですよ。

ペンギン: どういうことですか。

結城: フリーメールは無料で取得できるメールだから、いざとなったらそのメールアドレスを捨ててしまえばいいんです。

カンガルー: メールアドレスを捨てるって?どうやれば捨てられるの?ゴミの日に出すとか?

結城: 要するにそのメールアドレスを使わない、ってこと。たとえば、懸賞の応募があったとしますよね。応募するときに「メールアドレスを入力」する場面があったとしましょう。そのときには自分のメインのメールアドレスを入れるんじゃなく、フリーメールのアドレスを入れるようにする。

ペンギン: メインのメールアドレスって何ですか?

結城: たとえば自分が契約しているプロバイダのメールアドレスや、学校や職場でもらっているメールアドレスですね。要するに簡単には変更できない(変更したくない)メールアドレスのこと。

ペンギン: (うなずく)

結城: 懸賞なんかにはフリーメールのアドレスを入れる。仮に、懸賞の業者が、集めたメールアドレスを使って広告活動をしようと思ったとしますよね。あなたが、広告メールがうるさいなあと思ったら、そのフリーメールのアドレスはもう使わないことにしちゃう。別の懸賞に応募するときにはまたフリーメールのアドレスを別途取得して使う。フリーメールを使い捨てのメールアドレスにするってことですね。

ペンギン: なるほどです。そういう風にすれば、自分のメインのメールが迷惑メールでいっぱいになることはないわけですわね。

結城: 懸賞の応募に限らず、Web掲示板への書き込みなど、メールアドレスが人の目に触れるようなときには、自分のメインのアドレスではなくフリーメールのアドレスを使うようにするのはよい考えだね。迷惑メールへの自衛策だ。

☆     ☆     ☆

カンガルー: フリーメールは迷惑メール対策だけなの?

結城: そんなことはないよ。目的別にメールアドレスを用意する、という利用方法もある。お仕事でやりとりするメールと、プライベートなメールを使い分けるためにフリーメールを使う人もいるだろうね。メーリングリストやメールマガジンを読むため専用のメールアドレスとしてフリーメールを使うのもよくやる方法だ。

ペンギン: ちょっと話が違うかもしれませんけれども、この間「永久に使えるメールアドレス」という宣伝を見かけたことがありますわ。

カンガルー: 永久に使えるメール? どういうこと?

ペンギン: あのですね。たとえば学校でもらったメールアドレスだと卒業したら変わりますよね。学校とは関係なく独自のメールアドレスをゲットしておけば、卒業しても大丈夫。会社のメールとは別にゲットしておけば、転職しても大丈夫。という話だと思うんですけれども。

結城: そうだね。でも、永久に使えるというのは、話半分に考えておいたほうがよいと思うよ。サービスをしている会社の経営がうまくいかなかったら、それで終わりになる可能性はあるわけだから。もしも、自分がずっと使えるメールアドレスがほんとうにほしかったら、自分専用の独自ドメインを取得するという方法もあるよ。初心者にはちょっと敷居が高いかもしれないけれど。独自ドメインの話もまたいつかしようね。

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カンガルー: フリーメールでアドレスが無料でもらえるんだったら、いろんなところから、かっこいいメールアドレスをバンバンゲットしちゃうといいね!

結城: あ、そうそう、フリーメールのサービスを受けるときには、1つ大きな注意があります。

カンガルー: 何?

ペンギン: なんですの?

結城: フリーメールのサービスをしている会社が万一悪質だった場合、そこで入力したメインのメールアドレスが集められて広告メール業者に売られてしまう危険性があります。そうすると、迷惑メールを防止するために利用するつもりだったのに、かえって迷惑メールが増えてしまうという危険が…。

カンガルー: ガーン!

結城: これに対しては完全な対策はないんだけれど…。怪しげなフリーメールサービスは使わないとか、申し込みのときに表示される「利用規約」の内容をよく読むことくらいかな。

☆     ☆     ☆

カンガルー: あ、もうこんな時間だ。結城さん、ありがとねっ。今日のまとめは、ペンギンだな。よろしくうっ!

ペンギン: あ、あ、あれれ?

結城: もう行っちゃった。早いな。

ペンギン: 今日は勉強になりましたわ。フリーメールのこと、いろいろ調べてうまく利用してみますね。

結城: そうだね。

ペンギンちゃんのまとめノート

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(このページは、 日経ソフトウェア誌への連載記事を元に再構成したものです。 Webでの公開を快諾してくださった編集部に感謝します)

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