まどが、ブラッキーとホワイティーにあうおはなし

結城浩

むかしむかし、あるところに、
ブラッキーとホワイティーとこどもたちがいました。
ブラッキーのこどもは99ひき、
ホワイティーのこどもは99ひき、
ふたりのこどもをあわせたら、ぜんぶで198ひきでした。

あるひのこと、ブラッキーとホワイティーと198ひきのこどもたちは
こうえんにいきました。
こうえんでみんなであそぶのです。
みんなであそんでいると、むこうのほうから
うさぎのまどがやってきました。

まどはいいました。
「こんにちは、ブラッキー。
 こんにちは、ホワイティー。
 こんにちは、こどもたち。
 いっしょにあそぼうよ。」

すると、ブラッキーとホワイティーと198ひきのこどもたちは
声をそろえていいました。
「なにしてあそぶ?」

「なんでもいいよ。
 かくれんぼしようか」とまどはこたえました。

「しよう、しよう」とみんながいって、
かくれんぼがはじまりました。
はじめは、まどが おにになりました。

「もういいかい」とまどがいうと、
みんなくちぐちに「まあだだよ」とこたえます。

「もういいかい」とまどがいうと、
みんなくちぐちに「もういいよ」とこたえました。
ところが一つのこえだけが「まあだだよ」とこたえました。

まどがなんど「もういいかい」といっても、
その一つのこえだけは「まあだだよ」といいつづけました。

あんまり「まあだだよ」がつづくので、
まどはまちきれなくなりました。
それで「これがさいごだ、もういいかい」といいました。
すると、「こまったよ、こまったよ、もういいよ」というこえになりました。

まどは、めをあけて、さっとふりむきました。
こうえんのなかにはだれもいないようにみえました。
けれど、みんなはどこかにかくれているのです。
「さっきの、いつまでも『まあだだよ』といっていたのはだれかな」
とまどはかんがえながらみんなをさがしにいきました。

まどがあるいていきます。
とこ、とこ、とこ、とことまどのあしおとがこうえんにひびきます。
ところが、まどがみみをすますと、とってもちいさな
こと、こと、こと、ことというあしおとがきこえてきます。
まどが、ぴたりとあしをとめると、そのおともとまります。
また、まどがとことこあるきだすと、
そのあしおともことことはじまります。
「これは、だれかがぼくのうしろをついてきているんだな」とまどは
こっそりおもいました。
それで、しらないふりをしてあるきながら、
さっと、うしろをふりむきました。

すると、ホワイティーのいちばんちいさなこどもが一人、
そおっとまどのあとをついてきていました。
「みいつけた」とまどがいうと、
そのしろいこどもはびっくりしていいました。
「どうして、みつけたの?」
「あしおとが、こと、こと、こと、ことときこえてたんだよ」と
まどはいいました。
「さっきの、さいごまで『まあだだよ』といっていたのはきみ?」
ときくと、
「うん、そうだよ。みんなはもうかくれてしまって、
ぼくひとり、かくれるところがなくなっちゃったの」といいました。

それから、まどは、そのしろいこどもといっしょに、
ブラッキーやホワイティーや197ひきのこどもたちを
さがしにいきました。

みんながすっかりみつかるまで、
3じかんもかかりました。

ふう。

(おしまい)

最終更新: 1999年1月31日

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