質問の仕方を工夫して著者をうまく利用する

結城浩

著書に対する質問のメールは毎日多数やってくる。 それはもちろん感謝なことなのですが、 読者の側がほんのちょっとした工夫をしていただけると、 もっと確実なアドバイスができるのに、と残念な場合が多くあります。 その「ほんのちょっとした工夫」というのは単純なことです。

解決の助けに ならない 情報の例を以下に示します。

以上の情報がきたときには、以下のように返事することになります。

これではメールの一往復が無駄ですよね。 上記の返事に対して、さらに読者から 「ええ、何度も試しました。 おかしなエラーメッセージばかりが表示されます。 絶対に間違ってないのに、もう困ってしまいます。どうにも変なのです」 という返事が来たりすると、 私も困ってしまいます(腹が立つことはありませんが)。 もどかしさが伝わるかしらん。

正しく自分の状況を解釈説明できる人は、 ほとんど自力で問題解決できるのです。 他の人の助けを借りる場合には、 意図や解釈だけではなく(それらも大事ですけれど)、 事実(コマンドやメッセージ)を提示するのがよい方法だと思います。

実際、あなたのすぐそばに立っていて、 あなたのやることを見、表示されているメッセージを見ていたら、 すぐに解決する問題がほとんどでしょう(解決できなくても、何を次に試せばよいかがわかる)。 ですからうまい質問は「 自分が見ているものを相手にも見せてしまう 」ように書くことですね。 それでも解決できなかったら、そばに立っていても解決できない問題だったわけなのです。

状況の説明が具体的であればあるほど、事実の記述に近ければ近いほど(例えば、 エラーメッセージはタイプするのではなくコピー&ペーストする)、 解答は具体的なものになります。 まあ、でも今書きながら思ったんですが、 こういうのも「慣れ」かもしれませんね。

誤解しないでいただきたいのは、 私は読者を批判しているわけではない、ということです。 問題が解決するのは両者にとってハッピーなこと。 もっとうまく著者を「利用」してほしいなと思うのです。

いい方法だと私が思うのは、 メールを送る前に、1度それを 自分で読み返してみること です。 もしも自分がこのメールを受け取ったら、 問題を解決できるだろうかと自問してみるのです。 これは、とても効きます。

もちろん、私の方もそれをやっています。 「この返事を送ったら、読者は問題を解決するだろうか」ってね。

実は、この「メールを送る前に読み返す」というのは「メールを書く心がけ」の1つですね。

ところで、読者からの質問メールの中には、 こちらが「ああ、何と素晴らしい文章」と思うようなお手本メールもあったりします。 要点が整理され、質問が明記され、しかも愛情と思いやりに満ちていて、 読むとはっと目が醒めるような文章。 問題解決することで、こちらの知見も深まり勉強になるようなメール。 そういうメールが来ることもあります。 そんなときは、つい返事を早く出したくなるのですが、 そういうメールに限って最後に 「お忙しいでしょうから、お返事はお時間があるときにでも」とか、 「以上はご参考までにお知らせすることです。ご多忙でしょうからお返事は結構です」などと書かれていたりする。 うーむ。 私もこんな素晴らしいメールを書けるようになりたいものです。

(2000年1月30日の日記から)

豊かな人生のための四つの法則