「浮かぶ」と「沈む」

結城浩

お風呂で長男と会話。

私「熱気球っていうものがある」

長男「あ、知ってる」

私「大きな風船の下に、人が乗れるかごのようなものをつけて、そこで火をたく。すると風船の中の空気が温まって、風船が浮かぶ」

長男「そうだね」

私「ところで、どうして空気が温まると浮かぶんだろう」

長男「温度?」

私「それは説明になっていないね」

長男「よくわからない」

私「ええとね。空気を「温める」というのと風船が「浮かぶ」の間にあるのはどんな言葉だろう」

長男「熱気球?」

私「それは説明ではないね」

長男「よくわからない」

私「じゃあ、ヒント。どうなったら「浮かぶ」んだと思う?」

長男「わかった!「軽くなる」だ」

私「その通り。「温める」と「浮かぶ」の間にあるのは「軽くなる」でした。空気を温めると軽くなる。軽くなると浮かぶ」

長男「ふうん」

○ ○ ○

私「では、ちょっと話を変えよう。ゴム風船の中に温かいお湯を入れて、水の中に入れると…」

長男「あ、わかるよ。浮かぶんだね」

私「そうだね。ところで、どうして温かいお湯は浮かぶんだろう。「温かい」と「浮かぶ」の間にある言葉は何だろう」

長男「わかんない。熱?」

私「ヒント。どうなったら「浮かぶ」んだと思う?」

長男「うーん…」

私「さっきと同じことを聞いているんだよ」

長男「あ、そうか「軽い」と浮かぶんだ」

私「その通り。お湯は「温かい」から「軽い」。「軽い」から「浮かぶ」」

○ ○ ○

私「では、ちょっと話を変えよう。ゴム風船の中に冷たい水を入れて、お湯の中に入れると…」

長男「今度は沈むね」

私「どうして水は沈むんだろう。「冷たい」と「沈む」の間にある言葉は何だろう」

長男「さっきの逆だよ!「重い」だ」

私「そのとおり。「冷たい」水は「重い」。「重い」から「沈む」」

○ ○ ○

私「また話を変えるよ。風船が浮かぶのは軽いからだ、という話をしたね」

長男「うん」

私「熱気球は、空気を温めて軽くしていたんだ」

長男「そうだね」

私「でも、空気を温めなくても、最初から軽いガスを入れても気球ができる」

長男「あ、知っているよ。うーんとねヘリウムとか」

私「そうそう。よく知っているね。軽い気体としては、水素やヘリウムなどがあるね」

長男「水素はだめなんでしょ。ドイツの飛行船が事故を起こした…」

私「そう、ツェッペリンが爆発したんだ」

長男「水素は急激な化学反応を起こすからだよね」

私「そうだよ。じゃあここで話を整理しよう。ものが浮かぶのは軽いからだ。温めて軽くしてもいいし、最初から軽い気体を使ってもいい。また、水よりもお湯は軽いから浮かぶ」

長男「ふんふん」

私「水の上に油を入れると浮かぶけれど、あれはなぜだろう」

長男「油が軽いからだね」

私「そう。では油の中に水を入れるとどうなるだろう」

長男「沈むんだね、きっと」

私「きっとそうだね」

(2003年7月27日の日記から)

豊かな人生のための四つの法則