図を描く

結城浩

2003年3月10日

『暗号技術入門 ―― 秘密の国のアリス』の、PGPの章を書いている。 本書を書き始めのころにすでにこの章の図は描いていたので、 それを見直して描きなおし。 図を描くのは大変だけれど、美しい図としてまとまったときにはとてもうれしい。 技術的な図には正確さは欠かせないけれど、美しさだって重要だ。 美しくなければうまく伝わらないからだ。 ここでいう「美しさ」は、 首尾一貫していること、 表現したいものに対称性があるなら図にも対称性があること、 それから、適切な取捨選択によってシンプルになっていること、 などを意味している。 特に最後の「シンプルさ」は重要だ。 複雑なものを複雑なままに提示したのでは理解してもらえない。 適切な取捨選択によって「その図を通して何を読み取ってもらいたいか」を表現しなければならない。 でも絞り込みすぎると、薄っぺらな図になってしまう。バランスは難しい。 適切な図を描こう、美しい図を描こうとしてきちんと考えていくと、 自分の説明文の中に矛盾を発見することもある。 図が持っている内在律によって、自動チェックが働いたわけだ。 この点で、図を描くことはプログラミングに似ている。