第1回 問題編

文章教室
――文を短くしましょう――

結城浩

目次

はじめに

こんにちは、結城浩です。 「文章教室」をはじめます。

この「文章教室」に対して、 結城の想像以上に多くの方からの反応がありました。 ありがとうございます。 この「文章教室」がどんな風に進んでいくか、 まだ私自身もよく分かりません。 でも、ご一緒に、楽しく有意義なものとしていきましょうね。

ところで、 あなたは 「私には文章のセンスがないからダメなんだよなあ」 なんて考えていませんか。 それ、やめましょう。

私は「センス」については、あまり考えないようにしています。 だって、不毛なんですもの。 文章は、センスやインスピレーションで書くのではなく、言葉で書くのです。 ですから、言葉の使い方を練習すれば、 誰でも、他の人が普通に読める文章、 誤解されない文章を書くことができます。 センスの有無というのは、ずっとずっと先の話だと思いますよ。 センスについて考えている時間はもったいない。 それよりも、こうしましょう。

こういう具体的な練習が大事だと思います。 自分の手を動かして、書く。 自分の目を使って、よく読む。 そして、自分の頭を使って考える。 その積み重ねが大事ですね。 センス、という得体の知れないものに、 文章を書く気持ちを奪われないように注意しましょう。

なお、「文章教室」の概要とスケジュールは、 「文章教室」トップページに書いてありますのでご覧ください。 また、投稿なさる方は、必ず 「投稿の前に」のページをご覧ください。 この企画に関する質問や意見、要望などはいつでも、 「文章教室」へのフィードバックからお送りください。 お気軽に何度でもどうぞ。

それでは、いよいよ 今回のレッスンに入りましょう。

文を短くしましょう

文章教室の第1回は、「文を短くしましょう」がテーマです。

長い文は読みにくく、短い文は読みやすいものです。 次の(1)と(2)を比較してみましょう。

(1) 忘年会を今日、渋谷ですることになっていて、 夜、渋谷のハチ公のしっぽで夜の7時に待ち合わせしているのだが、 みんな遅れないで来るだろうか。

(2) 今日は忘年会がある。 会場は渋谷だ。 待ち合わせ場所はハチ公のしっぽ。 集合は夜の7時。 みんな遅れないで来るだろうか。

(1)は、1文をだらだらと長く書いています。 しかし(2)は、要点を書いた短い文を複数個つみかさねています。 (1)は、ぼんやりした文章になっていますが、 (2)は、くっきりした文章になっています(少々ぶっきらぼうですけれどね)。

読みやすく、分かりやすい文章を書くときには、 1つ1つの文を短くするのが基本です。 「…していて」や「…なのだが」のように言葉を続ければ、 文はいくらでも長くすることができます。 でも、長くなればなるほど、読者は読むのがつらくなってきます。 読者は1つの文を読む間、息を止めて水に潜っているのです。 文が長すぎると息が続かず溺れてしまうでしょう。

とは言っても、最初から短い文を書くのは難しいものです。 最初のうちは、長さなんか気にせず、思いつくままに文章をどんどん書いていくのがよいでしょう。 書き終えてから、文章を読み直します。 そして、 読み直しながら、文を短く切っていくのです。

文を短く切ると、 読みやすく・分かりやすい文章になります。 しかし、(2)のように短い文だけでは、 読者にごつごつした印象を与えてしまいます。 ですから、いったん文を短くした後で、 読みやすく整えるとよいでしょう。 例えば、次の(3)のようになります。

(3) 今日は、渋谷で忘年会がある。 夜の7時に、ハチ公のしっぽで待ち合わせだ。 みんな遅れないで来るだろうか。

では、あなたの番です。 実際に練習してみましょう。

練習

【書いてみましょう】 次の文章を、読みやすい文章に書き換えてください。

知識を持っていて文章を書けるような人は、 教えるような文章を書くのがよくて、 自分の知識を他の人に伝えるような文章を書くのがよいが、 それは、 自分の知識を誇る目的ではないし、 自分の能力を誇るためでもなくて、 自分の知識や能力を使って、 他の人を助けるために書く文章だ。

自由課題

【書いてみましょう】 あなたの好きな本を紹介する文章を書いてください。 字数の制限はありません。

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