紅茶

結城浩

2004年10月31日

今日は頭のクロックが落ちているので、 新しい文章を書くのはやめて、 ここまでの章[nu][lo][mo][ki][co][re]を章ごとにプリントアウトしては読み返していた。 読みながら、すごくおもしろい、いい本だなあ、と一人で楽しむ。

奥さんが気を利かせて紅茶をいれてくれた。 テーブルの向かい側に座った奥さんに向かって、私は熱く語る。

いやあ、この本、面白いよ。はじめはね、当たり前のことからスタートするんだ。 一見つまらない、平凡な、誰でもよく知っているようなことからね。 でも、少しずつ少しずつそれが変化していく。 変化していくけれど、元のテーマは変わらない。 そして、いつの間にか、想像もつかないようなところまで道案内をしていくんだ。 でも、はじめのテーマは相変わらず鳴り響いている。 まるで、そうそう、ラヴェルの「ボレロ」に似ている。 それからバッハの「フーガの技法」にも似ている。 …っていうのはちょっと言いすぎだけれど、まあ心意気はそんな感じだ。

奥さんは「はいはい、あなたはいつも同じ感動の仕方をするわね」と思っているはずなのだが、 そんなことは口に出さず、 紅茶のカップを両手で持ちながら、にこにこと私の話にうなずいている。