打ち合わせというもの

結城浩

2002年4月6日

先日、新連載の打ち合わせで編集部の方と打ち合わせをした。 編集部の方とは前もってメールで何回かやりとりをした。 私はいま連載できる内容をいくつか候補としてメールしておいた。 そして、打ち合わせ前に「自分としての落としどころ」をよく考えておく。 つまり「私としてはどういう路線でどういう連載をいつからするのがハッピーか」というのを あらかじめ考えておく。 でも、あまり考えすぎない。 編集部には編集部の意向があるし、ほかの連載との兼ね合いや、 対象読者層へのアピールもある。 私だけがつっぱしって考えてもしょうがないからだ。 ともあれ、前もって考えた上で打ち合わせに臨む。 打ち合わせで大事なのは、自分が何を言うかではなく、 相手が何を言うか、である。自分の情報を開示しつつ、相手の意向をくみ取る。 そしてその上で、両者にとってもっともハッピーな方向に話を進めていく。 ある点に関して「どちらでもいい」といわれたら、自分にとってハッピーなほうを選ぶ。 自分にとって「これはどちらでもいい」という部分があったら、相手に選んでもらう。 時には細かい点に注目し、時には全体の統一感を重要視し、 おかしな方向に行かないように注意する。 雑談を交えつつ、そういう打ち合わせが進むと、何だかとっても充実した時間を過ごせる。 打ち合わせの相手をしてくださる編集者の方もさすがでして、 私がその場でチョイスできるように連載の切り換え時期などについて、 前もって準備しておいてくださっていた。 こういう前準備があると、いろんなことが即決できる。ありがたい。 そして、とても大事なことは、互いに信頼しつつ率直に話をすることだと思う。 時期のこと、お金のこと、分量のこと、率直に材料を机の上に広げて、 一緒に検討することができれば、無用な誤解の危険性はとても少なくなる。 そして、満足度の高い仕事ができるように思う。