結城浩
2002年12月9日
長男「ねえ、何か問題出して」
私「じゃあ、2つの円の関係を考えよう。半径は違っているかもしれないし、同じかもしれない。
この2つの円の交点…交わっている点の個数にはどんな場合があるだろうか」
長男「重なっているの?」
私「重なっているかもしれないし、そうでないかもしれない」
長男「うん。じゃあまず0個の場合があるよねえ」
私「そうだね。どういう場合?」
長男「重なっていないとき」
私「うん」
長男「それから2個。こんな風に重なっているとき」
私「1個のときはあるかな」
長男「ええと。うん。交わってないけれど。
丸いのと丸いのがこんな風にくっついているの」
私「そうだ。そのときは交点とはいわず、接点という。接点」
長男「接点」
私「そう、接点。接点の「接」というのはタッチしている、という意味だ」
長男「ふんふん。円と円とがタッチしているんだね」
私「その通り。ところで、円と円のタッチの仕方には二通りある」
長男「へ?」
私「こういう風に外からタッチするのと、こういう風に中からタッチするの」
長男「中からタッチ?ああ、なるほど」
私「外からタッチするのを外接といい、中からタッチするのを内接という。
外接の外は「そと」という意味で、内接の内は「うち」という意味だ」
長男「ニ点でタッチすることはないの?」
私「ない。二つの円がニ点でタッチしている場合、
実はその二つの円はイッチしている」
長男「あはは」
* * *
長男「ねえ、平行ってどういうこと?」
私「平行というときには、何と何が平行、と言わないとはっきりしない。
たとえばニ直線が平行、とかね」
長男「にちょくせん?」
私「二本の直線。二直線」
長男「二直線」
私「平面の上にある二直線が交わらないとき、
だから線路の二本のレールみたいになっているとき、二直線は平行だね」
長男「ふんふん。交わったらたいへんだね。がっちゃん、ばらばら!」
私「そう。平面の上にある二直線が平行でないと、必ず交わる。
平行でないというのは…」
長男「こんな感じ?(といって両腕をハの字に広げる)」
私「そう。直線は無限に伸びているから、いつか交わる」
長男「でも、こうだったら?(といって両腕を逆のハの字にする)」
私「それでも交わる。直線は両方向に無限に伸びているんだ」
長男「なるほど」
私「じゃあ、ここで問題。1つの平面上にない——つまり空間中にある——
二直線では、平行ではなくしかも交わらないということもある。どういうとき?」
長男「ええ?…わかんない」
私「こういう感じ。(といって両腕を離して交差させる)」
長男「なるほどお!」
私「こういう二直線は世の中にたくさんある。交差している電線とか」
長男「あ、歩道橋と道路も!」
私「そうだね。立体交差だ。こういう二直線は「ねじれの位置にある」という」
長男「ねじれの位置」
* * *
私「次はニ平面の平行を考えよう。ニ平面の平行というのは?」
長男「紙が重なっているようなの」
私「ふんふん。そうだね。紙が離れているならね。
ニつの空間が平行、というのもありそうだけど、やめとこうか。
四次元で考えないと難しそうだから」